涼 子 【16】
両手足に手錠をかけられた涼子の直腸に、冷たい水割りが注ぎこまれていく。
「えっ? あ、いやっ、つ……冷たいっ」
わけもわからず、ただただ襲いくる刺すような冷たさから逃れようと、涼子は必死にな
って身体をばたつかせる。
だが手足を拘束され、澤田にがっちりと腰を掴まれていては、それはむなしい抵抗でし
かない。
「おまえが悪いんだぞ、俺がすすめた酒を断ったりするから……しょうがないから、下か
ら飲ませてやることにしたのさ。ハハハ、どうだ、うまいだろう」
「ああ、ひどい、ひどいわ、こんなのって……」
ぎゅっと眉をたわめ、背をのけぞらせて初めて味わう異様な感触に身悶える涼子。
その苦悶の表情をたっぷり楽しむため、澤田はシリンダーを押す手を時折止め、涼子が
気を抜きかかったところでまた注ぎこんで、悲鳴をあげさせる。
「もうちょっとだ……よし、入った」
すべて入れたところでブルブル震える尻たぶをぴしゃりと叩き、とば口を抜き取る。
「あん……やあぁ……」
注ぎ込まれた水割りが、さっそく涼子の腸内を駆けまわる。
涼子はワナワナと唇を震わせて、半べそをかきながらつらそうな喘ぎを漏らしている。
飛び上がるほど冷たかった液体は、涼子の体温で徐々にその温度を上げていく。
「ああ……はぁ……」
しばらくすると、涼子の口から情感のこもった吐息が漏れ出した。
腸内の液体はすっかり温まり、今度はじわじわ腸壁にアルコールが吸収されはじめた
のだ。
「あ……あ、熱いぃ……」
腹の中がかっかと火照り、頭が朦朧としてくる。
涼子のまぶたはぽうっと桜色に染まり、どこか焦点の定まらない潤んだ瞳が色っぽいこ
とこのうえない。
「熱い? じゃあ、冷やしてやろう」
そういうと澤田は、再び浣腸器に水割りをたっぷりと吸い上げて、ヒクつくすぼまりに
注入しだした。
「あうっ、やぁ、もう入れちゃいやぁっ」
涼子は逃れようと腰を振るが、その動きは弱々しく、澤田は悠々と液体を注ぎ入れてい
く。
涼子はもともと、酒に強いほうではない。
身体中を駆け巡るアルコールが、着々と涼子の身も心も蕩けさせていく。
真っ赤に染まった肌にはうっすらと汗が浮かび、明るい照明の下で光り輝いて見える。
澤田は入れ終わると、少し離れたところから腸内の酒に翻弄されている涼子を楽しそう
に見つめだした。
「今日はたっぷり可愛がってやろうと思って、いろいろ持ってきたんだ……さっそく役に
立ってなによりだ」
「あぐぅ……」
トロンと呆けたような顔をしていた涼子が、不意に苦痛のうめきを漏らした。
「……お、そろそろか?」
にやりと口端を歪め、澤田は涼子のかたわらにしゃがみこむ。
「く、うう……」
小さくうめきながら、涼子は緩慢な動作で身体を起こし、立ち上がろうとした。
しかし上体を起こした瞬間、澤田は涼子を突き飛ばした。
「きゃっ」
涼子はべしゃっと力なく床に倒れこんでしまった。
それでもなんとか、再びのろのろと身体を起こす。すると澤田はまた、にやにや笑いな
がらやっと膝立ちした涼子を床に突き飛ばす。
「いやあっ、やめてください」
涼子は潤んだ目で、悲しそうに哀願する。激しく頭が揺れたせいで、なおさら視界がク
ラクラする。
しかし澤田は、あえて何も言わず、ただ下卑た笑みを返すのみだ。
――ああ、お腹が痛いぃ……
意識は混濁しつつあるが、それでも腹部の痛みだけは本物だ。
――おトイレ、行かなきゃ……
立ちあがることは許されないらしいと学習したので、涼子は拘束された身体をよじり、
ずるずると床を這いだした。
いも虫のように這う涼子を楽しげに上から見下ろし、澤田は何も言わず、気長に後ろか
らついていく。
膜がはったようにぼやけた目で、涼子は前を見る。この廊下は、こんなに長かっただろ
うか。
気が遠くなりながらも、なんとか床を這い、涼子はやっとのことでトイレにたどりつい
た。
そういえば、手は使えないんだわと思った瞬間、ぎいっとドアが開いた。
ほっとして身を起こし、上体を便座にあずけて、ひとつ深呼吸をする。
今度は澤田は突き飛ばさなかった。
膝まで降ろされていた下着は、這っているうちに足首のところまで降りてきていた。
やっと便座に座ったところで、目の前で澤田が仁王立ちしていることに気がついた。
「あの……」
出ていってくれという視線を送る。
「なんだ? はやくしろよ。見ていてやるから」
しかし澤田はそう言って、両手で涼子の膝を掴むと、ぐっと左右に押し広げた。
「いやあっ」
泣きそうな顔でいやいやする涼子。必死で膝を閉じようとするが、まるで脚に力が入ら
ない。
「なんだ、見られたくないのか」
何度も肯く涼子に向かって、澤田は昂ぶりきった肉棒を取り出して突きつけた。
「咥えろ。出すもの出したら、出ていってやるよ」
「ああ……」
絶望的な声を漏らしながらも、もう反論する気力も残っていない涼子はおずおずと口を
開く。
「ぐふっ」
いきなり喉奥まで突きたてられ、くぐもった悲鳴が漏れる。
澤田はがっちりと小さな頭を掴み締め、わざとぐらぐら揺さぶりながら根元までぐいぐ
い抽送させる。
「そら、がんばれ、もうちょっとで出してやるから」
頭を揺らされるたびに、全身が揺れている感じがする。
意識が朦朧としていくなかで、澤田の声が頭の中にガンガン響いてくる。
澤田の動きが、徐々に早くなる。それなのにまるで苦しさを感じないのはなぜだろう。
「……イクぞっ」
短い声が聞こえ、ぎゅっと頭を抱え込まれる。
ああ、これでは息ができないなぁと、どこか人ごとのように思っている自分がいる。
喉奥に勢いよく白濁があたる。
「んくっ、ん、んんっ」
命ぜられるまでもなく、嚥下することがあたりまえのような気がする。
強烈な牡のホルモン臭が、どろどろに蕩けた官能をさらに熱くする。
「うくっ」
ふくらはぎに、一瞬びくっと力が入り、直後、括約筋の緊張がとけていく。
口中の萎えかけたものに熱っぽく舌をからませながら、涼子は身体中の体液が流れ出る
ような解放感の中、甘美な排泄感に酔いしれていた。