GAME 【月−高畠side−】
 大きく見開いた瞳。
 服の上から身体に食いこんでいる麻縄。
 剥き出しの敵意。
 ゾクゾクする。こんなにうまいタバコが吸えるのは、何年ぶりだろう。
 焦ることはない。時間はたっぷりある。
 ゆっくりと。そう、ゆっくりと。

 めんどうなので、今日の授業はすべて自習にしてやった。
 市販の問題集をコピーしたプリントを配り、ぼんやりと窓の外を眺める。生徒たちは、
誰も文句を言わない。
 俺のつまらん授業を聞くより、自習した方がよっぽどためになるとでも思っていやがる
のだろう。みんな黙々と鉛筆を走らせている。
 一応進学校といわれているこの女子校は、くそ真面目に勉強するやつが多い。校則が厳
しいので、髪を染めたり化粧をしたりしてるやつもいない。
 それだって、中身はいまどきの女子高生だ。裏で遊んでるやつは遊んでるし、腹の中で
は何考えてるんだか。
 ゆっくりと流れる雲を眺めながら、竹澤のことを考える。
 今朝、艶やかな長い髪に吸い寄せられるように竹澤の真後ろを歩いていて、おもしろい
話を小耳に挟んだ。
 一週間、か。
 竹澤の髪は、洗いたてのいい匂いがした。

PM 7:00

「はい。どちらさまですか?」
 いくぶん緊張したような声が、インターホンから聞こえてきた。
「竹澤か? 高畠だ」
 困惑したような空気が伝わってくるような沈黙。
 そりゃそうだ。俺は、担任でもなんでもない。
「担任の木村先生に頼まれてな。おまえに渡すものがあるんで、わざわざ届けに来てやっ
たぞ」
 竹澤が俺に好感を抱いているとは、とても思われない。
 だが俺だって、一応教師だ。こう言えば、扉を開けないわけにはいかないことはわかっ
ている。
 そして、やはり。
「こんばんは……」
 おずおずと、ドアが開いた。

 玄関まで入ってしまえば、こっちのものだ。俺は有無を言わさず靴を脱ぎ、ズカズカと
部屋に上がりこんだ。
「なんだ、竹澤の親御さんはいないのか。しっかり戸締りしろよ。女ひとりじゃ、無用心
だ」
 竹澤は、いかにも迷惑そうな顔をして、ちらちらと時計に目を走らせている。
 早く帰れと思っているのは見え見えだが、それでもちゃんとお茶をいれてくるあたり、
しつけのよさが見て取れる。
「あの、それで先生、木村先生に頼まれたものって……」
 ついに痺れを切らしたか、竹澤は俺の適当にでっちあげた用件のことを尋ねてきた。
「おお、そうだったな。すっかり忘れるところだった。ガハハハハ」
 持参した鞄の中に手を突っ込み、スタンガンを握り締めて取り出す。
 てっきりプリントかなにかだと思っていたのだろう、竹澤は不思議そうに小首をかしげ
て、軽く身を乗り出してきた。
 その細い首すじに、俺はおもむろにスタンガンを押し当てた。

PM 8:00

 ぐったりと力の抜けた身体を肩に担ぎ、階段を上る。
 竹澤の部屋は、上ってすぐ手前にあった。うっすらと甘い女の匂いが漂っている、よく
片付いた部屋。ひとつ深呼吸して、さっそくはじめる。
 服を剥ぎ取ろうとして思いとどまり、やはり着衣のまま縛り付けることにする。
 飾り気のない、綿でできた膝丈のベージュのワンピース。ラフでいかにも部屋着という
感じがかえっていい。
 勉強机の椅子に座らせ、背もたれを後ろ手に抱きかかえるような格好で縛り付ける。
 スカートを尻の上までたくし上げ、両足はそれぞれ椅子の足にくくりつける。タンスか
ら紺色のハイソックスを取り出し、猿轡を噛ませて、完成だ。
 我ながらいい出来栄え。縄はやはり、麻縄がいい。
 淡いピンク色のチェック柄の布団カバーに包まれたベッドに横たわり、タバコに火をつ
けたところで、竹澤が小さく呻いた。
 ゆっくりと目を開いたかと思うと、俺をみつけて目を丸くした。
 事態が把握できないのだろう、せわしなく視線をあちこちに走らせ、もどかしげに身体
を揺する。
 やがて、ようやく自分の置かれた状況がわかったのか、問い掛けるように俺に怯えた視
線を投げかけてきた。
「違うぞ、竹澤。金じゃない。ま、くれるってんなら、もらうけどな。ガハハハ」
 悔しそうに猿轡をかみ締め、怒りに燃えた目を向けてくる。
 いいぞ、竹澤。まだ、泣くのは早いもんな。

PM 11:00

 どうやら、焼酎はないらしい。
 サイドボードからブランデーを取り出して、グイグイやりながらのんびりナイターを見
る。
 今にも襲われるかと思っていたであろう竹澤が、どんな気持ちでいるかと想像すると、
思わず笑みがこぼれる。
 まったく、放置は楽しい。
 巨人は負けちまったけれど、俺の心は弾んでいた。

「しかし、今年の巨人は、なんとかならんもんかなあ、竹澤」
 スポーツニュースまできっちり見てから、竹澤のところへ戻る。
 ベッドに座って、ブランデーをあおる。羽毛布団ってやつは、ずいぶんと柔らかいもん
だな。俺のせんべい布団とは、えらい違いだ。
「だいたい、監督が悪いんだよ、監督が……なんだってあそこでピッチャー替えないかな
あ」
 ぶちぶち言いながら竹澤に目を移すと、訴えかけるような目で俺を見ていた。
 小刻みに足を動かし、もどかしげに腰を揺すっている。
「ん? どうした、竹澤」
 ……これは、おもしろいことになってきた。ブランデーの瓶をベッドサイドに置き、竹
澤を縛り付けた椅子に近づく。
「なんだ、しょんべんか」
 わざと身も蓋もない言い方をしてやると、竹澤は耳朶まで真っ赤になって俺から視線を
そらした。
 それでも、必死で何度もうなずいているところをみると、もう相当余裕がないのだろう。
「んーっ、んんーっ!」
 猿轡の下から、なにやら必死で叫んでいる。とっとと縄を解けとでも言っているのだろ
う。
 竹澤の訴えを無視して、ブルブル痙攣している下腹に手をあててやる。いくぶん張って
いるようだ。
「フンフン、フフ〜ン」
 ゆっくりと撫で回しながら、その時を待つ。
 竹澤は、一瞬息を飲み、それから猛烈に暴れ出した。
 無駄だ、そう簡単に解けるほど甘い縛り方はしていない。竹澤は血走った目を見開き、
唯一自由になる首を、狂ったように振り立てる。
 ぞくぞくする。一瞬たりとも見逃すまいと、しっかと目を凝らして下腹をさする。
 だんだんと、撫でる力を強めていく。
 こんなおもしろい見世物、そうはない。腹の奥から笑いが込み上げてくる。
 真っ白な太腿の内側がビクビクと痙攣し、やがて竹澤は天を仰ぐように首を後ろに折っ
た。

 ……白い下着に小さな沁みができたかと思うと、見る間に広がって、吸収しきれなくな
った分が溢れ出した。
 内腿の間に水たまりができ、足を伝って床にまで垂れ落ちていく。
 天井を見据えたまま大きく見開いた目に、涙がたまっていく。
 無様と言っていい状況にもかかわらず、俺は魅入られたように、竹澤から目を離せずに
いた。
 押し殺した嗚咽にあわせて震える足先に吸い寄せられて、そっと唇をつける。
 ぴりっとした刺激が舌先に走った。俺は夢中になって濡れた脚を舐めまくる。
 滑らかな太腿に頬擦りし、たまに我慢しきれず噛み付くように吸う。
 内腿と椅子の間にたまった生温かい液体をすすり上げる。
 自分が痛いくらい昂ぶっているのがわかる。
 湯気をたてているような秘部に、うっすらと黄色く湿った布地越しに噛み付く。

「うぐっ」
 頭上からくぐもった悲鳴が聞こえてきて、俺は顎にぐっと力を入れた。


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